秋田県内での地域サポーター養成講座(2013年度)

 今年度始まった秋田県主催の「大人が支える!インターネットセーフティの推進」事業は、研修会の開催やニュース配信、教育啓発イベントなど複数の施策から成り立っています。その中でも重要な役割を果たすのが、保護者や教職員を対象とした「地域サポーター養成講座」です。これは「青少年のインターネット問題に少し詳しい大人」を、中学校区程度の地域内で集中的に学ぶことで、当該地域全体の問題対応力を向上させようとするものです。

 この取り組みは三年間かけて県内9地域を網羅しようという計画です。このうち初年度は、秋田県内3地域の計6会場を対象に、計4時間半から6時間の学習会を開催しています。本ページでは、各地で開催される学習会の様子をご紹介していきます。

 

主催 秋田県教育委員会(事務局:秋田県教育庁生涯学習課)
協働 子どもたちのインターネット利用について考える研究会
協賛 ヤフー株式会社
報告/講師担当 高橋大洋(ピットクルー株式会社 インターネット利用者行動研究室/子どもネット研事務局)

 

 

第一回レポート – 2013年9月26日開催

名称 鹿角地域生徒指導研究推進協議会 職員研修会
日時 2013年9月26日木曜日13時30分〜16時(うち子どもネット研担当の講座は90分間)
会場 鹿角市十和田市民センター 視聴覚室

 

講座当日写真1

 秋田県では、県内9地域にそれぞれ、先生や保護者が生徒指導について、学校種をこえて地域ごとの連携をはかり、また日頃研鑽を積むための組織「地域生徒指導研究推進協議会(地域生研)」があります。今年度の「地域サポーター養成講座」は、このうち鹿角地域の地域生研の職員研修会が最初の舞台となりました。当日はお忙しい中、小学校から高校までの幅広い学校種の先生にご参加いただきました。

 

 研修会の冒頭では、秋田県教委の生涯学習課ご担当者から、「大人が支える!インターネットセーフティの推進」への取り組みの背景を含め、全体像についてのご説明がありました。その後、子どもネット研から「児童・生徒のインターネット利用の危険性と学校の役割」と題した講座を実施させていただきました。

 

 子どもネット研の保護者向けの講座(地域密着型)では、通常2から3回に分けて計3時間から4時間半を費やす内容を、教職員向けの講座ではわずか90分に圧縮することになります。どうしても駆け足になるため、受講される先生の負担も大きいところではありますが、今回も「子どもたちを取り巻く環境の急変と最新の利用状況、トラブルの実際」に始まり、「人気サービスの構造と注意点」「理想のインターネットデビューと周囲の大人への期待」「家庭・地域・学校の取り組み」という流れに、みなさま積極的に参加していただくことができました。

 

 何より、家庭や地域の取り組みをしっかりとサポートしていただくことが、子どもたちのインターネット問題への対応にあたっての先生や学校への大きな期待となります。具体的には、「親には話せない、話したくない」という子どものよき相談者になっていただきたいということ、また、子ども同士でのインターネット利用トラブルの解決支援をお願いしたいという二点をお伝えしています。また、地域のペースメーカー役として、状況把握や共通のルールづくりについても大きな役割を果たしていただける可能性があります。いずれも、先生同士、学校同士の協働が重要な鍵を握る事になります。
そのためにも、問題のありようを正しく把握できていることがスタートラインとなります。幸い、今回受講された先生には、これまでにお持ちの知識や問題意識をうまく更新していただくことができたようです。

 

 この鹿角地域では花輪および小坂の二会場で、保護者を対象とした連続講座が10/3から始まります。先生と保護者・地域のみなさんが力を合わせて、子どもたちのインターネット利用を支えられるように、子どもネット研では引き続き講座の充実に努めていきたいと思います。

 

第二回レポート – 2013年10月3日開催

名称 鹿角地域小坂中学校区 地域サポーター養成講座(第一回)
日時 2013年10月3日木曜日18時30分〜20時
会場 小坂町交流センター・セパーム

 

講座当日写真2

 今年度の県内6会場での保護者向け学習会のトップバッターとなったのは、鹿角郡小坂町の小坂中学校区です。小坂町は秋田県の北東部にあり、十和田湖まで町域に含まれる山あいの静かな街です。現在の人口は6000人ほど。長い鉱山の歴史や関連する歴史的建造物の魅力でも知られています。

 

 四回連続構成の第一回講座では、「子どもたちのインターネット利用を正しく知ろう」と題し、われわれ大人が持っている「子どものインターネット問題」についての先入観を修正するところがスタートになります。

 

 最初にインターネット活用が求められる時代になったことを確認した上で、子どもたちの周囲に多様なインターネット機器が存在していること、それらを使って発信参加型サービスの利用を始めやすいこと、どのようなトラブルに注意をすべきなのかなどをじっくりと学んでいただきました。

 

 そして講座の最後は恒例のグループワークです。同じ地域の大人同士、ワイワイガヤガヤとにぎやかに、子どもとインターネットに関する自分たちの悩みや不安を話し合うことができました。お持ちのスマートフォンを取り出して、メッセンジャーアプリの画面を実際に見ながら、その特徴について他のメンバーに説明するグループも見られるなど、貴重な時間となりました。

 

 こうして第一回の講座を終えたことで、小坂中学校区のみなさんに、今年度の取り組みのねらいや学習会の実際がしっかり伝わっていくと思います。次回開催は一週間後の同じ曜日、時間帯です。第二回の講座では、子どもたちの利用しているサービスの実際や、理想的なインターネットデビューのあり方についてご紹介する予定です。

 

第三回レポート – 2013年10月4日開催

名称 鹿角地域花輪第一中学校区 地域サポーター養成講座(第一回)
日時 2013年10月4日金曜日18時30分か〜20時
会場 鹿角アメニティパーク コンベンションホール

 

講座当日写真3

 鹿角地域で開かれる連続講座のもう一つの会場は、鹿角市にある花輪第一中学校区です。鹿角市は岩手、青森の両県とも接する広大な広がりを持つ街で、人口も3万人を超えています。また、縄文時代の遺跡である、大湯環状列石などでも有名です。

 

 昨晩と同じく、「子どもたちのインターネット利用を正しく知ろう」というテーマで開かれた第一回の講座の参加者の顔ぶれは、やや女性の方が多かったでしょうか。中には、9月26日の地域生研の研修会に引き続いてご参加いただいた先生もいらっしゃいました。

 

 参加者に挙手をしていただくと、6割強が既にスマートフォンをご利用中とのこと。しかし、ソーシャルメディアなど発信参加型の利用を日常的にされている方はまだ少数派ということだったので、講師が持参したスマートフォンの画面を大きなスクリーンに投影しながら、情報収集のための検索や動画サイト利用が十分実用的であることや、撮影した写真を非常に簡単な手順で広くインターネットに公開できることなど、従来の携帯電話との違いを実感していただきました。

 

 講師の時間配分の不手際で、講座の最後のグループワークはごく短時間しか行えませんでしたが、それでも活発な情報交換の場としていただくことができました。みなさまご協力をありがとうございました。また、受講後のアンケートでは、「初回の講座を受け、早速子どもと話をしてみます」という回答も見られ、強い手応えを感じることができました。

 

 二回目の講座では、アンケートに記入いただいた質問項目に関する回答・解説からスタートします。より多くのみなさんにご参加いただけることを楽しみにしています。

 

第四回レポート – 2013年10月5日開催

名称 秋田地域 勝平(かつひら)中学校区 地域サポーター養成講座(第一回)
日時 2013年10月5日土曜日18時30分〜20時
会場 勝平地区コミュニティセンター

 

講座当日写真4

 今年度の地域サポーター養成講座の三地域のうち、鹿角地域に続いて開講したのが、秋田地域の勝平中学校区会場です。勝平地区は、秋田市の中でも日本海に面した丘陵地帯に広がる、落ち着いたベッドタウンです。

 

 計四回開催される講座の会場には、昨年秋にオープンしたばかりの地区コミュニティセンターをご用意いただきました。土曜日夜の開催にも関わらず、現役保護者のみなさんから、お孫さんがいらっしゃるくらいの年齢の男性まで、会場には多彩な顔ぶれが集まりました。

 

 今日も挙手でお聞きしてみたところ、受講者のみなさんのスマートフォン利用率は4割弱に留まりましたので、実機でのご紹介を少しだけ丁寧な進め方にしてみました。普段は携帯電話とパソコンのみを利用という方にも、スマートフォンが単なる「高機能型携帯電話」ではなく、「予備知識がなくても誰にでも簡単に使える超小型パソコン」だと実感いただけたことと思います。

 

 またその一方で、講座終了後に、早速その様子を写真入りでご自身のスマートフォンから交流サイトのFacebookに投稿し、周囲へ呼びかけをする受講者もおられました。保護者間でも活用度合いの差が大きいことを改めて実感することが出来ました。

 

 受講後のアンケートには「トラブルへの認識の甘さが実感できた」という気づきの他、「町内会の会合で話してみようと思う」といった地域に根ざした取り組みへの決意を記入いただいた方もおられました。勝平中学校区会場での次回の開催は二週間後の土曜日の夜となります。みなさんとまたお目にかかれることを楽しみにしています。

 

第五回レポート – 2013年10月10日開催

名称 鹿角地域小坂中学校区 地域サポーター養成講座(第二回)
日時 2013年10月10日木曜日18時30分〜20時
会場 小坂町交流センター・セパーム

 

講座当日写真5

 第一回開催からちょうど一週間、台風一過の好天に恵まれた小坂中学校区での二回目の講座は、前回よりも少し広い会場で開かれました。

 せっかくの連続講座形式なので、講座のスタートは、前回アンケートに記入いただいた質問への回答と解説です。小坂中学校区会場では、無線LAN(Wi-Fi)による接続や、ゲーム機のすれ違い通信の危険性の有無など、30分近くを費やしました。

 

 その後は、第一回で紹介した子どもたちの利用トラブルの舞台となる、人気インターネットサービスを、保護者はどのように把握すべきなのかなどの本題に入ります。子どもたちに大人気のメッセンジャーサービスについても、その難しさがどこにあるのかといった視点も含めてしっかりとご紹介しました。

 

 その上で、理想的なインターネットデビューのあり方として、子どもネット研が提唱する「段階的利用モデル」をご説明。保護者の取り組みの必須項目として、子どもの能力発達の見きわめがポイントになることをお伝えしました。

 

 最後に、グループワークとして本日の気づきや疑問について、共同での振り返りをしていただきました。

 

 計二回の講座を終え、受講者のみなさんの気持ちの中には、「自分の家庭では、具体的にどのような取り組みをしていけば良いのか」という不安と期待が生まれていることと思います。次回開催、第三回の講座では、さらに追加の補足説明を加えつつ、段階的利用を支える保護者管理機能の実際や、家庭での取り組みのヒントについてもご紹介していく予定です。

 

第六回レポート – 2013年10月11日開催

名称 鹿角地域花輪第一中学校区 地域サポーター養成講座(第二回)
日時 2013年10月11日木曜日18時30分〜20時
会場 鹿角アメニティパーク コンベンションホール

 

講座当日写真6

 鹿角市での二回目の講座はあいにくの雨となりました。今日は男性の比率がやや多かったですね。また、今回から初めてご参加いただいた方も二名いらっしゃいました。

 

 前回のアンケートでいただいたご質問への回答からスタートした本日の講座では、インターネットサービスの把握のポイントをお伝えしていきます。人気のあるサービスには、実は共通の構造があること、そしてその要素ごとに、利用者が注意しなければいけないところを確認します。

 

 たとえば、サービスの利用開始時、子どもたちがプロフィール(自己紹介)ページを作る際、大人が想像しているよりもはるかに多くの質問が用意されている様子や、「公開された日記」の上での日常の様子の書き込みのやり取りなどを、全て実在のサイトの画面を使って擬似的に体験していただくわけです。

 

 この他、人気サイトの特性を比較しながらご紹介したり、収益構造についても解説を加えることで、様々な社会経験を積んでいる大人ならではの危険予知が可能になっていきます。

 

 講座の後半では、「理想的なインターネットデビュー」の方法として、段階的な利用解禁の考え方と、フィルタリングなど保護者管理機能活用の重要性についても触れています。

 

 保護者管理機能の詳細については、第三回の講座に譲りますが、今回の講座の後には、「フィルタリングが全て一律にブロックするためのものではなく、段階を追って利用させていくための支援ツールだと初めて知った」という声が聞かれました。また、実際に自分でもソーシャルメディアを使ってみたいという前向きな決意も見られます。

 

 こうして、地域の中に「少し詳しい」大人が増えていくことで、子どもたちのトラブルを予防できるようになる、また、たとえトラブルが起きても、小さなうちに解決が出来るようになるというのが講座の目的です。その手応えを早くも感じることが出来ました。

 

第七回レポート – 2013年10月17日開催

名称 鹿角地域小坂中学校区 地域サポーター養成講座(第三回)
日時 2013年10月17日木曜日18時30分〜20時
会場 小坂町交流センター・セパーム

 

講座当日写真7

 三週連続で木曜日夜の開催となった小坂中学校区での講座。初回からまだ一ヶ月も過ぎていないのに、すっかり気温が下がり、秋の深まりが感じられます。

 

 会場ごとに原則として四回構成(一部会場のみ三回構成)で完結する秋田県内各地での保護者向け講座ですが、いずれも最終の四回目の開催では実践からの気づき、学びへの解説や共有がメインとなりますので、講師が主役の「講義」スタイルで進むのは今回が最後です。

 

 毎回、講座冒頭の三分の一は、前回のアンケート用紙に記入いただいたご質問への回答や解説の時間としています。今日は、実機の画面を見るだけではなかなか把握しにくい、Twitter(ツイッター)などソーシャルメディアの投稿/閲覧の流れのご説明に、かなりの時間を割きました。

 

 その後、第二回で簡単に触れた保護者管理機能の実際について、実機投影を交えながら解説しました。さらに、重要な役割を果たすフィルタリングについては、基本的なところから説明させていただきました。

 

 後半は、家庭での取り組みのヒントとして、子どもとの接し方を含め、大人の側に期待されることをお伝えしました。これから機器などを与える方にはともかく、既にお子さんにインターネットを使わせている方にとっては、どこまでどのように後戻りして実力を確認するのかなど、どこの会場でも悩みの絶えない部分です。

 

 最後に、地域サポーターに期待する具体的な取組などをお話しした上で、次回の講座までにそれぞれどんな取組が出来そうなのかについて、グループワーク形式でアイデア出しをしていただきました。

 

 最終回の講座開催までには一ヶ月少々の時間があります。ご家庭や地域の中で、どのような挑戦がなされるのか、楽しみにしています。

 

第八回レポート – 2013年10月18日開催

名称 鹿角地域花輪第一中学校区 地域サポーター養成講座(第三回)
日時 2013年10月18日金曜日18時30分〜20時
会場 鹿角アメニティパーク コンベンションホール

 

講座当日写真8

 よく晴れた金曜日の夕暮れ、まん丸の月が上った頃に鹿角市での第三回講座が始まりました。初回講座では、どこかぎこちなかった参加者のみなさんも、かなりリラックスしてご参加いただけるようになりました。

 

 今夜も、第二回では十分な説明が出来ていなかった点を補足するところから講座が始まりました。こちらの会場でも、ふだん大人が使うことの少ない携帯音楽プレーヤーでの保護者管理機能や、ツイッターなどのソーシャルサービスの実際などに質問が集まりました。

 

 その後、具体的な保護者管理機能の設定のポイントや、実機画面を投影しながらのフィルタリングのかかり方などを体験していただきました。

 

 そして後半は、家庭での取り組みについて、これだけは避けたいという「べからず集」や、大人が使い方のお手本になれる分野について一緒に考えていきました。

 

 最後のグループワークの時間では、ほぼ一ヶ月後に予定されている四回目の講座までに、それぞれの家庭などでどんな取組を試すことが出来そうか、みなさんで情報交換をしていただきました。「子どもと正面から話をしてみる」「人気のサービスを使ってみる」などの前向きなアイデアが次々と出されていました。これから最終回までの間のみなさんの奮闘に期待したいと思います。

 

第九回レポート – 2013年10月19日開催

名称 秋田地域勝平中学校区 地域サポーター養成講座(第二回)
日時 2013年10月19日土曜日18時30分〜20時
会場 勝平地区コミュニティセンター

 

講座当日写真9

 勝平地区での第二回講座は、初回講座から一週空いての開催となりました。今回も、若いお母さん、現役世代のお父さんからシニアまで、幅広いみなさんにご参加いただきました。

 

 第一回で出た質問の解説の後は、実際のコミュニティサービスの構造の読み解き方に挑戦していきました。

 

 Facebook(フェイスブック)など交流サイトの実際の画面の紹介も交えながら、複数サービスに共通する要素を把握することで、日常的にこうしたサイトを利用していない大人であっても、子どもたちへの適切な注意喚起が出来るようになってもらおうというねらいです。また子どもたちに人気の、LINE(ライン)などのメッセンジャーサービスで、なぜトラブルが起きてしまうのか、その背景なども紹介しました。

 

 後半では、理想のインターネットデビューのあり方として、段階的な利用解禁の考え方を説明しました。

 

 本格的な家庭での取組方については、三回目の講座で触れる予定としていますが、アンケートなどで「フィルタリングでできることが思っていたのと違って驚いた」や「子どものゲーム機の利用状況や設定を再確認してみる」「タブレットを入手して試してみたい」といった、実際的な取組につながるコメントが多く見られました。

 

 なお今回の講座から、具体的なサービスに触れることが多くなり、ボリューム的にも充実していたため、普段スマートフォンなどを使っていない受講者の中には、「やや難しい」と感じられた方も少なくなかったようです。次回以降は、ペース配分にも配慮しつつ、引き続き分かりやすい講座運営に努めたいと思います。

 

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