子どもたちのインターネット利用について考える研究会、第三期活動報告書を公開
「保護者向け教育啓発のあり方」を提言する第三期活動報告書と改訂版教材を公開
2012.03.14
〜「危険の認知」「対策の周知」止まりの集合教育依存から脱却、よりきめ細かな展開を〜
学識経験者や保護者・学校関係者で構成される専門家会議「子どもたちのインターネット利用について考える研究会」(座長:お茶の水女子大学 教授 坂元 章、以下「子どもネット研」)では、子どもたちの安全なインターネット利用を支える「保護者向けの教育啓発のあり方」を、第三期(2011年6月〜2012年2月)の調査研究課題と定め、検討を続けてきました。この結果を報告書としてまとめ、子どもネット研のウェブサイト上で本日より公開することをお知らせいたします。また保護者向け教育啓発モデル教材の全面改訂版「保護者のためのインターネットセーフティガイド〜インターネットの安全利用と家庭教育のヒント〜」も、同じくダウンロード提供を開始します。
成長の途上にある子どもたちが適切にインターネットを利用していくためには、保護者による適切な見守り、指導や各種の環境整備が欠かせません。そのため、保護者向けの教育啓発活動が官民を挙げて盛んですが、その現場からは「全ての保護者に到達できない」「効果測定が難しい」などの悩みが多く聞かれます。
こうした現状を受け、子どもネット研の第三期活動では、社会教育分野の専門家の力を借り、また教育啓発に取り組む地方自治体や学校、業界団体、携帯電話事業者、NPO法人など計21組織へのインタビューや、横浜市・札幌市と協働での地域密着型の教育実践、保護者対象の複数のアンケート調査などを通じて、現状の把握と共通する課題の抽出に取り組みました。
その結果、1)「危険の認知」「対策の周知」に留まることなく、問題の背景や可能性の理解につながるような教育啓発のゴール設定が必要 2)保護者の興味・学習意欲に関わりなく、集合型研修で一律の教育啓発を実施するのではなく、提供内容・方法の多様化や、相談機能や調査機能との一体的な取り組みが必要 3)県単位でなく市町村単位のきめ細かな展開が必要 4)地方自治体の担当者は調整と進行管理に徹するべき 5)事業者の関わり方にも多様化が求められる という五点の提言をまとめるに至りました。
また、教育実践の成果を反映させるべく、第一期・第二期でのモデル教材を統合し、スマートフォンなどインターネット接続機器の多様化に対応するなど、モデル教材の大幅な改訂も実施しました。
本日より提供開始する、全面改定版のモデル教材「保護者のためのインターネットセーフティガイド〜インターネットの安全利用と家庭教育のヒント〜」では、保護者に子どものネット問題の背景を解説することで、表面的な事象の列挙ではなく、構造的な理解を促すことをこれまで以上に重視しています。また、受講後の保護者の取り組みの助けとなるように、具体的なヒントやアドバイスを掲載している点も特徴です。あわせて講師を担当される方向けの解説資料も提供いたします。
本報告書およびモデル教材は、本日から子どもネット研のウェブサイトで公開する他、関連省庁や一部の自治体及び事業者等には、教育啓発の各種事業展開の参考としていただくべく、直接の提供も予定しています。子どもネット研では、地方自治体との協働での地域密着型の教育啓発実践など、今後も保護者の支援のための活動を続けていきます。
詳細につきましては以下をご覧ください。