2011年11月・自治体(札幌市役所)での採用例

「中高生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド」採用事例

 子どもネット研のモデル教材「中高生のお子さんを持つ保護者のためのインターネットセーフティガイド」のシナリオを利用して、自治体が独自の保護者向け啓発教材を作成した事例をご紹介します。

 

2011年11月・自治体(札幌市役所)での採用例

 子どもたちのインターネット利用に関わるトラブルが多く報じられている中、国だけでなく、各地方自治体でも、子どもたちが被害者・加害者とならないために、啓発セミナーの開催など、様々な取り組みを行なっています。

 札幌市市民まちづくり局では、保護者向けのインターネット利用リスク啓発セミナーを本年11月と12月に開催。また、子どもネット研のモデル教材のシナリオを採用し、市独自の編集を加えたオリジナルの保護者向け啓発教材「インターネットトラブル対策ハンドブック」を制作し、11月から配布を開始しています。制作の経緯や子どもネット研の提供するモデル教材の評価などを、担当された札幌市役所の皆さんに聞きました。(聞き手:子どもネット研事務局・高橋大洋) 。

 

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写真:ハンドブックの制作を企画、推進された高橋様、坂野様、千田様(右から)

【プロフィール】

札幌市 市民まちづくり局 地域振興部区政課

生活安全担当係長 高橋求様
主査 坂野雅樹様
千田哲史様

※部署名、役職等は取材日(2011年12月21日)時点のものです。

 

ハンドブック制作の経緯を教えてください

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写真:セミナー開催とハンドブック制作の一体的な進行を決めた高橋様

 札幌市市民まちづくり局では、これまでも毎年、市民向けの防犯セミナーを開催しています。昨今の青少年のインターネット利用トラブルの増加を受けて、平成23年度は保護者向けのリスク啓発をテーマと定めました。

 ただし、セミナー開催だけでは、物理的な定員の制約もあるし、忙しい保護者にとっては参加がなかなか難しいことも、これまでの経験からわかっていました。青少年のインターネット利用問題については、すべての保護者に知ってもらう必要があります。市としてセミナーに参加できない保護者にも広く発信するために、ハンドブックを制作、配布することを8月に決めました。

 

子どもネット研モデル教材を知った経緯は?

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写真:セミナー開催準備、ハンドブック制作同時進行の主役となった坂野様

 子どものネット利用問題について、札幌市では既に教育委員会が、子ども向けはもちろん、教員向けの研修や学校非公式サイトの調査事業といった積極的な取り組みを行っていました。市教委の担当者はもちろん、同事業の委託先企業などにも話を聞き、子どもネット研の取り組みについて知りました。

 

子どもネット研のモデル教材の魅力はどのような点でしたか?

 子どもネット研のモデル教材は、視覚的にとても分かりやすいと思いました。内容・シナリオも初めからうまく絞られていて、ハンドブックに盛り込むべき要素の取捨選択に迷わなくてすみました。イラストなども、そのまま流用可能とのことで有難かったです。既に自治体の取り組みとして、秋田県さんの制作事例が紹介されていたことも、心強かったですね。

 

制作はどのように進みましたか?

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写真:セミナーの告知チラシと完成したハンドブック

 パンフレット配布のねらいは、子どもたちにとって身近なこの問題を、まず保護者に認識してもらうところにあります。そのためには、手に取りやすく、目を通していただきやすいページ数にとどめたい。一方で、お伝えしたいこと、盛り込みたいことはたくさんありますので、その落としどころとしての適切なボリューム感を決めるのが一番難しかったです。札幌市でのトラブル事例を盛り込み、身近な問題だと感じてもらうために、道警にも情報を提供してもらいました。

 

ハンドブックの配布はどのように進んでいますか?

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写真:ハンドブック中には札幌市の自殺予防キャラクターCHUPUKA(チュプカ)も登場している

 まず初版として1万部を制作しました。防犯セミナーの参加者への配布のほか、市のPTA協議会事務局にもお送りしています。年明けには、市内の保護者向けの一斉配布も予定していますが、一学年で1万5千人程度ですので、限られた予算の中で、どの学年をターゲットとして増刷するのか、ちょうどいま検討を進めているところです。

 先行して、市のホームページにはPDFデータを掲載していますので、こちらについてはどなたでもダウンロードが可能です。

 

ハンドブックの活用イメージを教えてください

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写真:使いこなしのレベルが高い、若い世代の保護者に向けた啓発教育のあり方にも興味があるとお話しいただいた千田様

 青少年のネット利用問題の解決には、やはり保護者が重要な役割を果たすことになると考えています。親も子も、実はネット利用についてそれぞれに知らないことがあります。インターネットのメリット・デメリットも、うまく整理されていないご家庭がほとんどでしょう。でも、何もないところから、いきなりあらたまってそんな話をすることは案外難しい。ハンドブックを、そのきっかけづくりのための、ツールとして活用していただけるといいのではないかと思っています。

 

子どもネット研の今後の活動に期待することを教えてください

 青少年のネット利用問題について、保護者向けの教育啓発は、まだまだ続ける必要があると考えています。来年度以降、単発のセミナー形式だけでなく、より地域に密着した活動が出来ないかについても検討を始めています。子どもネット研には、こうした活動への色々な形での支援を期待しています。

 また、日々進歩する技術的な情報のアップデートや、他の地域での事例についても、ぜひ継続的に情報提供してほしいですね。

 

 

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