第五回研究会議事要旨

第五回研究会議事要旨

  • 日時 2010 年9 月28 日(火) 13:00〜15:30
  • 会場 ヤフー株式会社 本社11F会議室
    • 出席者(敬称略)
    • 委員
      坂元座長代理、阿部委員、飯塚委員、伊藤委員、新谷委員
  • 発表者
    鳥取県 教育委員会事務局 家庭・地域教育課 福田 範史
    ぐんま子どもセーフネット活動委員会 飯塚 秀伯
    総務省 総合通信基盤局 消費者行政課 中村 朋浩
    株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント 渉外部 福永 憲一
  1. 議事
    (1)開会
    (2)第4回研究会における社団法人電気通信事業者協会様向け残質問への回答
    (3)携帯電話の販売実態調査結果
       ・鳥取県におけるケータイ・インターネットに関する教育啓発の取組み
       ・保護者による販売店実態調査結果
    (4)スマートフォンのフィルタリング提供についての法的整理
    (5)ゲーム機、テレビでのフィルタリング概要
    (6)PlayStation®のネットワーク機能と青少年保護の仕組
    (7)質疑応答・検討
    (8)閉会
    • 議事要旨
      (1)開会
      坂元座長代理より開会のあいさつが行われた。
    • (2)第4回研究会における社団法人電気通信事業者協会様向け残質問への回答
      事務局より、「第4回研究会における社団法人電気通信事業者協会様向け残質問への回答」について報告が行われた。

       

    • (3)携帯電話の販売実態調査結果
      鳥取県 教育委員会事務局 家庭・地域教育課 福田様より、鳥取県におけるケータイ・インターネットに関する教育啓発の取組みについて説明が行われた。
      ぐんま子どもセーフネット活動委員会 飯塚委員より、保護者による販売店実態調査結果についての報告が行われた。

       

    • ・質疑応答
      発表に対する主な質疑応答やコメントは次の通り。

    • 青少年インターネット環境整備法の主旨を解すると、未成年者が利用する携帯電話には予めフィルタリングを設定した携帯電話を用意し、販売する。保護者がいらないと言わない限り、予めフィルタリングを設定した携帯電話を渡すべきと考える。この研究会では、そこまで踏み込んだ事を検討し、提案を行う事を考えた方が良い。

    • いくつかの事例を聞いた中で、親御さんも聞くのが面倒で、契約の際にハンコを押す時にだけ車から出てくるといった事もあるという。ネットの良さは知りつつも、ある程度の強制力を持った対応が必要。

    • 鳥取の調査では危機感のない、リスクマージメントができていない、子どもに押されている親の状況が見えてきた。また、同時に子どもの携帯電話の世界は、保護者と全く違う世界であると感じた。リスクの認識不足は、安心・安全を求める強さが弱いと言う事だと思う。

    • 販売の調査では、形だけの説明で実行性を促すものではない現実があると思う。さらに、知らない親に対して、虚偽の安心を与えないでほしい。販売店がこのような説明をする事により、嘘の安心を与える事は大変問題と感じる。説明する事により、リスクを増大させる事はどうなのか、きちんとした説明を徹底していただきたいと考える。そして、リスクマージメントにかける手間・時間・金が不足していると思う。親の責任もたくさんあるが、 いろいろな形での企業の責任を何とかしていかないといけない。

    • 説明ができる店員もいるが、説明のできないスキルがあまりにも低い販売店員の方が多く、組織的な取組が不足していると感じる。

    • 虚偽の安心感により、保護者が全く知らないところで事件が起こっている点に問題があると思う。

 

(4)スマートフォンのフィルタリング提供についての法的整理
総務省 消費者行政課 中村課長補佐より、スマートフォンに関する法的整理と今後の検討課題等について説明が行われた。

・質疑応答
発表に対する主な質疑応答やコメントは次の通り。

  • 法律の見直しに向けて検討を行われていると言う事で、現状でもスマートフォンの様な機器はあると思うが、どのあたりが問題となっているのか。
    (回答:誰がフィルタリングを提供する事になるかといったところだと思う。今後、総務省の検討会(青少年インターネットWGでは、まさにこの点を検討する事になろうかと思う。)
  • フローチャートに公衆無線LANを用いた役務の判断があるが、公衆無線LANと両方を持っている機器の場合はどのようになるのか。
    (回答:携帯電話回線を利用する場合は携帯電話インターネット接続役務となり、WiFiの場合はインターネット接続役務になろうかと思う。)
  • スマートフォンでは、WiFiであれば17条の適用除外とされるとのことだが、危険性やリスクが無いとされて17条適用除外とされたわけでは無いようだ。携帯電話では、全部フィルタリングを原則かけるといった、安全ベースが基本となっているが、スマートフォンは携帯電話と同じような機能、更にはパソコンのような広い機能があるのに、携帯電話のような安全志向にはならないのか。
    (回答:今の質問は、WiFiと3G接続でどんな差異があるのかという点と、なぜ規制に差異があるのかという質問と考える。政府の統一見解ではないが、携帯電話接続の場合はどこからでも接続できる一方、WiFiの場合はWiFi契約をしないと接続ができない等の一定の制約があるため、このような差異が生じている。また、青少年利用が多いかどうかという実態を考えてみても、子どもがWiFi契約をするケースは少ないと思う。しかし、懸念も分かるので、今後も継続的に検討して行きたい。)

(5)ゲーム機、テレビでのフィルタリング概要
事務局より、ゲーム機、テレビでのフィルタリングの概要について説明が行われた。

(6)PlayStation®のネットワーク機能と青少年保護の仕組
株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの福永様より、PlayStation®のネットワーク機能と青少年保護の仕組に関して説明がなされた。

・質疑応答
発表に対する主な質疑応答やコメントは次の通り。

 

  • この研究会の何回か前に、ゲーム機ではインターネット接続をさせないようにするための方法やフィルタリングの導入についての機能の提供について少しわかりにくい所があるとのコメントがあった。そのあたりはどのようにお考えか。

    (回答:ソニーグループでは、ユーザーインターフェースをできるだけ共通化し、理解しやすくするような取組をしている。)

  • オンラインゲームのチャット機能において、チャットの内容監視やNGワードをモニタするような機能はあるのか。

    (回答: NGワードについては、データベースにより問題となるような表現を予め入力できなくするような機能を設けている。監視については、通報窓口を設けているが、常時監視はしていない。ここで問題になるのはもっぱら初心者いじめなどのハラスメントが中心であり、通報があれば調査するようにしている。また、基本的にはリアルタイム表示のため、同時接続している方しか見る事ができないため、常時監視は難しい面がある。)

  • チャットができるソフトとできないソフトの区別を、保護者ができるようになっているのか。

    (回答:基本的に、チャットについてはサーバアカウントでシステムに入って行く事が前提となっているので、マスターアカウントでチャットを利用できなくする機能を用意している。)

  • PSネットワーク接続の場合は、年齢が自己申告であるの点が一点目の問題だと思う。また、ゲーム機は子どもが勝手に買えるので、保護者は子どもが何を購入したかは分からないと思う。

    (回答:まだ未公表だが、違法コピー問題に関連して行った調査報告があり、ゲーム機の入手経路を調査している。低学年の場合は、保護者や他の大人が買い与えたり、小遣いに保護者が多少補助をして買われる場合が多い。よって、ゲーム機については、入口のところでは保護者が関与している場合が多い。

    事前の質問の中で、ネットワークでの購入の仕方があったが、基本的にはクレジットカードを登録する形にして障壁を作るようにしている。また、店頭でのPlayStationカードによる購入方法がある。いずれも、大人が関与できる場面を設けるようにしている)。

  • 年齢制限はどこまで担保されているのか、またパソコンのオンラインゲームではチャットで知り合いになりオフ会をしたりするのが一般的だが、これは可能か。また、ゲーム機は、小さな子どもも利用させているので、保護者の中では携帯電話より心配されている方が多い。このため、子どもの安全を担保するためにも、ペアレンタルコントロールなどが簡単に利用できるような仕組み、その利用を促進するような仕組みや表示を促進してほしい。

    (回答:家庭用ゲームビジネスの場合は、ゲーム機メーカーはプラットフォームを運用しており、ここでのサービスはソフトメーカーが運用するようになっている。表現については、コンピュータエンターティメントレイティング審査機構(以下CERO)の審査を受けるようになっているが、コミュニケーションについては対象外となっている。このため、コミュニケーションについては、ゲームメーカーと私どもで話し合いながら進めているのが現状。なお、ゲームの世界では、アバターによりコミュニケーションするため、匿名性は担保されるようにはなっているが、オフ会のようなやり取りが絶対できない仕組みにとは言い切れない。そのため、できるだけ通報窓口等を充実させて行く取組を継続して行く。)

(7)質疑応答・検討
発表全体に対する主な質疑応答やコメントは次の通り。

  • 携帯電話のフィルタリング利用は、販売の場面が唯一絶対通る道なので、なんとかしたい。しかし、我々が恐れていた通り、説明があまり徹底されていない。一つの理由は、このような現状をけしからんとする声が今まで足りなかったためだと思う。実態が分かってしまった以上、この研究会含め市民の側から声を上げる必要がある。

  • ゲーム機に関しては、プレゼントの形で渡されるケースがあると思う。この場合、ペアレンタルコントロールをかける間が無い。PlayStationネットワークの場合は、クレジットカードなどに対しある程度の制限を設ける事ができるとのことで半分は安心したが、本当にそれで問題ないかの不安が残る。将来的に、どのようにコントロールして行くのかが課題。

  • これまでも、被害調査等の現状よりリスクを想定して検討をされていると思うが、実際は想定よりも低年齢化、想定よりもいろいろな使われ方、想定よりも技術が進歩している。携帯電話に対する経験を活かし、今後の機器に対しては後追いにならないよう、リスクをなるべく少なくするための企業努力、行政努力、市民努力、家庭努力が必要。

  • (フィルタリング利用の徹底を図るためには)、携帯電話を買う時にフィルタリングの利用の可否は比較的簡単な操作で実行できるはずであるから、販売店の側でフィルタリングを施した状態で用意しておき、明示的に外してほしいと言われない限りその状態で販売する。そのような指導を、総務省より行っていただくよう検討を行っていただきたい。

    (他の委員のコメント:現状の仕組みはその様になっている。それを積極的に、買う時に保護者が外していると言う事。それは若干の間違った説明などのいろいろな原因で外されていると思う。)

  • 販売店が、悪意を持って誘導している事は無いと思う。問題は、無知などが原因で購入時の説明が不足し、きちんとした説明を聞いていればフィルタリングを実施したままであったであろう人の中より取りこぼしが生じていること。よって、無知の部分については、携帯電話会社や販売店員の教育を徹底していただかないと、不幸にも齟齬が生じてフィルタリングを外す人を生みやすくなっている。

  • 前回TCA様からご説明があったように、親側にも聞く構えができていない事も問題と考える。ここで拾えるのは少数かもしれないが、そのような保護者に聞く耳を持っていただくためのアプローチ方法などは無いか。

    (回答:関心のある親とない親、資料配布しても読む親と読まない親、会議に来る親と来ない親がおり、あらゆる問題でいつも課題になっている。PTA側としては、一つの学校の中で、PTA活動に熱心な保護者を中心にした活動やインフォーマルサポートとして保護者会のような学校内の組織を利用して活動を推進するようにしている。また、どのような保護者の子どもであっても義務教育なので学校に行かなくてはならないため、セーフティネットとして、学校教育の一環の中で先生から子どもや保護者に対してアプローチしていただくようにお願いしている。

    子どもに関心の低い保護者が関心の高い事は、自分の事やパソコン・携帯などの情報になる。そのような保護者の方は、自分が携帯やネットを利用しているので、子どもに利用させる事に対する抵抗感が低い。自分がやっているから子どもも大丈夫だと思っている。自分がやっているのだから、危険性が分かるとお考えで、子どもと一緒にやる事が少ない。そのよう保護者は、行政の機関誌は読まないが、テレビや携帯等の簡単に触れる事の情報を見ている機会が非常に多い。そのような、今までとは角度を変えた所からの普及・啓発活動を実施するようにして頂ければと思う。)

  • 啓発活動をしている時に良く思う事として“知らないから大丈夫”という事がある。保護者は、ゲームサイトは自分一人だけがやるゲームだけができると思っているようであり、オンラインゲームが人と人とのつながりを持てる事すら良く知らない。また、お金がかかる事も全く知らない。このような事を啓発の場面で説明すると、非常に驚かれる。そのため、保護者に知らせる場面をどれだけ増やせるかができるかが勝負になってくると思う。よって、誰しもが携帯電話を購入するために通る販売店で、しっかりとした説明があって欲しいと思っている。しかし、今回の調査でそれが全くできていない事が分かったので、まずはいろいろな場面で知らない人に知らせることを実施必要があると思っている。

  • 昨年9月にも同様の販売店調査を行い、その際に、改善要望などを販売店に提出させていただいた。今回の調査は、それと比較等ができるのでとても有意義なものだと考える反面、なかなか改善が見られないと感じた。そのため、保護者への広報活動を続ける事や販売店のスキルアップが重要な事だと考えている。また、県内の学校を訪問し、リスク教育向けの授業や、講演活動を行っている。そういった活動では、子どもの教育は出来るが、保護者や先生にはなかなか伝わらない状況があるので、携帯電話事業者には、保護者への啓発活動をもっと行って頂きたいと考える。

    ゲーム機に対しては、この9月と10月に小学生や保護者を対象に聞き取り調査を行っておるので、情報共有して行ければと考えている。

  • 昨年の4月末に子どもに携帯を購入した際や、今回の調査で感じた疑問がある。 “子どもが持つので”と伝えると、販売店の方が必ずパンフレットを持ちだして“高校生ならこのフィルタリングで大丈夫です“、”中学生ならば、このフィルタリングで十分です“というようにブラックリスト方式のフィルタリングを勧める。その子どもに”インターネット歴がどの位あるのか“という事には一切触れなかったという事がとても不思議でならない。先ほど委員より提案がなされたように、フィルタリングを前提として販売をして頂けたら保護者としてはとてもありがたいことだと考える。しかも、それはホワイトリスト方式であって欲しいと切に願っている。もし、それが無理であれば、パンフレットに小学生などの低学年向きはホワイトリスト方式、中学生や高校生向けはブラックリスト方式という形で明確に謳っているから販売員がそのまま勧めるのであり、インターネット歴、誘惑に負けない自制力、いざという時の判断力などを元に分類を行い、説明をするようにして頂きたいと感じる。その様な説明がなされれば、私たちのような母親やインターネットに精通していない保護者にもその危険性が、少しでも分かるようになるのではないかと思う。

  • 販売員の説明が子ども本意となっている点がとても気がかり。たとえば、“お子さんが何をしたいのか聞いてみてください”、“このホワイトリスト方式だとお子さんがしたいモノができない可能性があります”といった説明を何度か受けた。私たち保護者が本当に受けたいサービスなのかと本当に疑問に感じる。携帯電話を持たせる目的は様々あると思うが、子どもが被害者や加害者になることを望んでいる保護者はいないという事を是非再認識し、ショップの方々に正しい知識を持って新しい情報を提供していただける事、また、子どもたちを守るためにどうあったら良いのかと言う事をご考慮頂きたい。

  • 先ほど委員から“後追い”の事について発言があった。携帯電話が子どもたちに普及する過程で、ペアレンタルコントロールやフィルタリングという考え方や機能・サービスが後追いになってきた事があると思う。今後、子どもたちの利用が増えるであろう新しい機器については、これまでの事を教訓として生かしてフィルタリングや広義のペアレンタルコントロール機能の提供において先手を打って対応して行く事が社会的にも求められてくると思う。今回は開催時間を延長し、それぞれの先生方より貴重な発表を頂き、諸課題に対する理解を深める事ができたものと思う。今後とも関係各位の理解、協力を頂きながら進めさせていただきたい。

(8)閉会
座長からの閉会挨拶の後、事務局から今後のスケジュールについて説明が行われた。

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